Occupational Therapy Interventions for Adults With Fibromyalgia-線維筋痛症への作業療法介入-
線維筋痛症は女性に多く認められる慢性疼痛疾患で、全身に痛みが起こることが特徴です。今日はAmerican Journal of Occupational Therapyに掲載された作業療法介入事例を通して、痛みをコントロールしながら生活するための方法について記事を書いてみたいと思います。
*オープンアクセスです
ー線維筋痛症の特徴や原因ー
まず、線維筋痛症の特徴や原因についてお伝えしたいと思います。線維筋痛症の特徴は、全身に認められる痛みです。論文中には、人口の2.7%の人がこの病気の影響を受けていると述べられています。(日本では1.6%、約200万人の患者がいると言われています)
血液検査やレントゲン、CT、MRIなどで検査しても特別な異常が見つけられないことも特徴として挙げられます。
また、原因は不明ですが、身体的な疲労や機能低下、精神的なストレス、同じ姿勢での長時間の作業などが影響しているのではないかと言われています。
ー論文で示されている評価と介入内容ー
評価は、Occupational profileを用いたインタビューから始まっています。その後、筋骨格系に対する作業療法 Occupational Therapy Interventions for Adults With Musculoskeletal Conditionsでも使用されていたCOPM、線維筋痛症の生活への影響を評価するRevised Fibromyalgia Impact Questionnaire(FIQR)が使用されています。
介入は、COPMで挙げられた作業とFIQRで生活上大きな問題を生じている作業に焦点を当てて行われました。
具体的な介入方法として、
- 痛みなく家事を行えるように、行動計画や要した時間、疲れ具合を日誌に書き出してもらい、自身で何が難しいのかを把握する
- 無理な姿勢はなるべく避け、良い姿勢を心がける
- オンラインのマインドフルネスプログラムに参加し、痛みや気持ちの落ち込みの管理、処理技能、社会的関係性の向上を図る
- 全身の持久力や痛みの改善のためのエクササイズ(歩行や水中運動)を行う
- 社会的参加や趣味に取り組み、気分の落ち込みを予防する
などが記載されています。
ー痛みをコントロールすることが大切ー
痛みがあると、何もしたくない/動きたくないと思ってしまいます。これは誰でも同じことです。しかし、じっとしていればじっとしている程、心身機能は低下していくのです。
まずは、自分が痛みを伴うことなくできることを見つけ、それに取り組んでいくことから始めましょう。無理は禁物ですが、適度に身体を動かしてみることが大切です。
少しずつ痛みがなくできることを増やし、作業時間を延ばしていくことが痛みをコントロールする秘訣ですね。
また、患者会などに参加してみることもお勧めします。同じ境遇の方のお話を聞くことで前向きになったり、生活の工夫を知ることができます。
皆さんの生活が痛みのない、自分の好きなことを行えるものとなるように願っています。