在宅での嚥下内視鏡(VE)を経験して

2019年03月28日

 先日、歯科医と医師に同席して在宅での嚥下内視鏡(VE)評価を経験させて頂ける貴重な機会を得ることができました。口腔・嚥下リハビリテーションの最新の知見及びアプローチについてもご指導頂けました。

 この度、歯科医2名、医師2名(かかりつけ医、リハビリテーション医)に同席して嚥下内視鏡(VE)による評価と口腔・嚥下リハビリテーションの介入方法の検討を行いました。

 とても貴重な機会を与えて頂き、利用者様とご家族様、医師の皆様に感謝を申し上げます。


ー完全側臥位法による嚥下の安全性ー

 まず最初にお伝えしておきたいことは、完全側臥位法による嚥下の安全性の高さについてです。以前、嚥下障害に対する完全側臥位法のご紹介という記事の中で紹介した新しい嚥下方法ですが、VEを行う中でその安全性の高さに驚かされました。

 私が病院勤務時代に経験してきた嚥下造影検査(VF)では、造影剤を含んだ食べ物をX線透視下で観察し、どのように食べ物が動いていくかを評価していました。

 その評価時における姿勢は、機械の制限を受けるため、座位で行うことがほとんどです。この座位における嚥下評価は重力によって食べ物が自然と落下し、誤嚥を引き起こすケースが認められます。


 一方で、完全側臥位での評価は安全に咽頭内に食べ物を貯留することができるため、嚥下時以外では誤嚥を起こしにくい嚥下方法となっています。

 実際にVEで観察を行いながら食べ物の動きを見ることで、完全側臥位法の安全性の高さを認識することができました。


ー仰臥位ギャッチアップでの嚥下はリスクを伴うー

 一般的に病院で嚥下リハを開始する場合、ベッド上でのギャッチアップを行い、角度を30度~45度に調整して嚥下評価・介入を行うと思います。

 しかし、この肢位は誤嚥の上記したように、実は誤嚥のリスクを伴うのです。

 今回、一緒に評価をして下さったリハビリテーション医は、この肢位について、球麻痺患者への嚥下リハを誤って仮性球麻痺患者のリハへと適応し、盲目的に広がっていった結果だとお話されていました。

 実際に私も、最近まで嚥下リハはベッド上でのギャッチアップで開始し、座位姿勢へ持っていくことが基本だという認識でいたので、本当に知識のアップデートは必須だと感じさせられました…


ー嚥下内視鏡評価における課題ー

 先生方とお話をしていて初めて知ったことですが、嚥下内視鏡は「九州」の歯科医は基本的に行うことができないという事実です。これは九州での在宅医療、口腔・嚥下リハを大きく遅らせる要因と言えるのではないでしょうか。

 他の地域ではそのようなことはなく、歯科医でも嚥下内視鏡を行うことができるらしいのですが、九州は厚生局が厳しく、その普及が遅れているそうです…

 現在は少しずつ歯科大など大学病院での実施が行われ始めているということですが、一般の歯科の先生方は仲間内で嚥下内視鏡の練習を行っているというこでした。

 今後は、九州の歯科の先生方が嚥下内視鏡を実施することができるように実績を残していく必要があるとお話されていました。心から応援したいですね!


ー口腔・嚥下リハにも取り組んでいますー

 今回の嚥下内視鏡評価への同席時に、先生方と共に頚部や体幹の調整を行い、アライメントや座位姿勢を作っていくリハビリの検討も行いました。

 どのようにすればより舌の動きを出し、嚥下反射を引き出すことができるのかなどを医師と共に考え、アプローチしていく機会はとても貴重です。

 また、現在は当社に言語聴覚士や歯科衛生士は在籍していませんが、作業療法士や理学療法士の知識や経験を活かして口腔・嚥下リハに取り組んでいきたいと思います。

 当面の間は、私が先生と相談しながら口腔・嚥下への介入も行っていく予定となっていますので、たくさんの勉強をして、先生からも知識を吸収していきたいと思っています。

 嚥下リハへのご希望が御座いましたら、お気軽にお問い合わせくださいね。

 言語聴覚士さんの登録も随時、お待ちしております!


© 2017-2024 株式会社きゅうすけ 
Powered by Webnode
無料でホームページを作成しよう!