麻痺側上肢/学習性不使用の改善

2017年04月13日

 皆さんは麻痺のある手をしっかりと生活の中で使っていますか?今日は麻痺側上肢の学習性不使用の改善についてお話をしたいと思います。

 皆さんは学習性不使用という言葉を聞いたことがありますか?これは、麻痺のある手を「使わない」ことを脳が覚えてしまった結果、日常生活で全く手を使うことができないというものです。

 この段階になると、ご本人さんは麻痺のある手を使っているとか使っていないとかいう意識はないのではないかと思います。ただ、不思議なことに、この学習性不使用は上肢の機能が比較的保たれている方にも起こりうることなのです。

 最近では、学習性不使用の改善や初期段階からの予防、上肢機能の改善や日常生活動作の改善目的としてConstraint-induced movement therapy(CI療法)に注目が集まっています。しかしながら、日本ではCI療法を勘違いして使用しているセラピストがいるのも現状です。そこで、今回はCI療法についても少し触れてみたいと思います。


 まず、CI療法がどんなものか簡単に説明すると、麻痺をしていない方の手を敢えて使えないように固定/制限し、麻痺のある手の使用を促すというものです。CI療法にはいくつか適応条件があり、それらを満たす方が対象となります。

 CI療法は麻痺のない手を固定して麻痺手を使わせればいい!と思っているセラピストがいますが、これは残念ながら間違った解釈です。近年でこそようやくCI療法の正しい認識が広まってきましたが、麻痺のある手を日常生活でどのように使えるようにするかという行動変容を含めて行うことが大切なのです。

 亜急性期の高齢者に対してCI療法を行った研究では、対象者と明確な生活目標を設定し、手の機能回復と共にできることを増やして生活の質を向上させています。この論文は無料でダウンロードできますので、是非セラピストには目を通していただきたいと思います。調べたらたくさん論文が出てきますよ!

McCall, M. et al: Modified Constraint-Induced Movement Therapy for Elderly Clients With Subacute Stroke. Am J Occup Ther65, 2011.

(余談ですが、AJOTは5年以上経過している論文は全て無料でアメリカ作業療法士協会のHPから閲覧/ダウンロードできます)

 さて、少し難しいことを書いてしまいましたが、日常生活の中で少しでも麻痺のある手を使うように意識付けをすることが大切だということです。まず自分でできそうな行動目標/生活目標を立て、その中で手を使って見てください。

 ただし、ストレスを感じてしまうほど難しい課題は避け、無理なくできる範囲で行うことが大切です。手を使う練習をして、生活するのが苦になるというのは、本末転倒な話ですからね。

 自分でやってみて、やっぱり難しい、専門的な知識を持ったセラピストに一度アドバイスをもらいたいという方は、お気軽にお問い合わせ下さいね。