選ばれるひと、見放されるひと
どんな仕事においても、選ばれるひとと、そうでない人がいます。同じレベルの知識や技術があっても、選ばれるひとと、見放されるひとの間には、大きな「差」があります。それでは、その「差」は一体どこにあるのでしょうか。
昨今、医療や介護、福祉業界においても、「選ばれる」ということが当たり前になってきています。飲食業界などと比較し、まだまだ数は少ないものの、病院や介護事業所の口コミをインターネットで見ることができるようにもなってきていますね。
ー見放されるひとー
選ばれるひとがどういう人かということを書く前に、見放されるひとの特徴を挙げてみたいと思います。
例えば、Aさんの例です。ある施設に入所中だったAさん。外泊の際に自宅に訪問リハビリに来て欲しいという依頼がありました。
話しを聞いてみると、入所施設でのリハビリでは、「痛いことや無理なこと」ばかりされ、ご自身の話や要望を聞き入れて貰えないということでした。
これは、いわゆるセラピスト中心のリハビリであり、セラピストのリーズニングのみに基づいて行われるリハビリであったと考えられます。
結局、Aさんは施設に入所しているにも関わらず、毎週外泊して私とリハビリをしていました。
現在では、施設を退所し、デイサービスでのリハビリ(保険内)と私のリハビリ(保険外)を併用して在宅生活を送っておられます。
Bさんの例では、会議の際に、ご家族が手の拘縮予防について尋ねると、担当の療法士は、「ご家族が行うと骨が折れるリスクがあるため、触らないで下さい」と答えていました。
入院中に行っていた座る練習や立つ練習を取り入れて欲しいという旨を伝えても、担当療法士はできませんという返答でした。
ところが、現在では血圧も安定し、車椅子に座ってお出かけできるようになりました。今では、「できない、できない」と答えていた療法士を見かけることはありません。
AさんとBさんの例から、クライエントの話を聞かないひとや、できない理由を並べるひとなどは見放されるひとの大きな特徴だと言えそうです。あと、嘘は必ずバレるので嘘をつかないようにしましょう(笑)
ー選ばれるひとー
では、選ばれるひとの特徴は何かということを考えてみましょう。最低限言えることは、人の話をしっかりと聞いて、できる方法やできるようになる方法を常に考え続けることができるということでしょう。
そして、クライエントの期待に応えることができる、もしくは期待以上の成果を生み出すことができることが重要となります。
この期待とは、私たちに求められていることと捉えて良いと思います。私たちは、クライエントが何を望み、何を求めているかを知らなければなりません。
私たちが提供した知識や技術が、相手にとって何の意味も持たないという悲しい状況は避けたいですね。
療法士の努力(しっかりリハビリした実感)とクライエントへの効果(しっかり成果がでた実感)に相違があれば、努力と効果を近づける取り組みをしなければなりませんね。
ー差とはー
同じ知識や技術を持っていても、それをどのようにクライエントに活かすことができるかを考えられるひとかどうか、という点に大きな差があるように感じます。
この考える過程においては、クライエントの話を聞き、困っていることやできるようになりたいことを明確にすること、私たちに求められていることを把握することが重要となります。
問題解決の方法ばかりに捉われて、クライエントを見失ってしまわないように、私自身も肝に銘じておきたいと思います。
ーおわりにー
今後、さらに療法士が選ばれる時代は加速していくと考えられます。
リハビリテーションに対する診療報酬が引き下げられていく中、皆さんは療法士として選ばれ、生き残っていく術を持っていますか?