訪問看護ステーションにおける人員配置基準の新設がもたらす影響 

2020年11月21日

 介護給付費分科会において、訪問看護ステーションにおける人員配置基準の新設案が挙げられています。これに対し、日本作業療法士協会も所属するリハビリテーション専門職団体協議会は声明文を出しています。この人員基準の新設案は療法士だけでなく、ご利用者様にも大きな影響を及ぼすことが考えられます。

 今回の人員基準の新設案に対して考えられる影響として、リハビリテーション専門職団体協議会は以下のことを懸念しています。(以下、声明文を引用)

課題1.サービスの選択は、地域(住民)のニーズによるものであり、今回の人員配置基準の新設は、国民の訪問看護に対するニーズを排除した制度改革となります。

課題2.約8万人の利用者はサービスを受けることができなくなります。

課題3.理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は約5千人が雇用を失います。

 実は、以前より訪問看護ステーションからの訪問リハについては、多くの議論がなされてきました。

 看護との連携を図ることができていないのではないか、必要以上のサービス提供を行っているのではないか、効果が上がっていないのではないかなど、様々な点から議論がなされ、少しずつ保険点数の減点や訪問制限が設けられてきたのです。


 ただし、今回に関しては、今までと比べものにならない程、大きな影響があると考えられています。

 人員配置基準の新設案は、看護師に対する療法士の比率制限です。例えば、看護師が4人所属していて、療法士が3人所属する小規模の事業所があるとします。

 この例では、看護師に対して療法士の割合が新設案の看護師6割以上を超えているため、療法士のどちらかは職を失うことになります。


 また、同様に訪問リハを受けていた利用者様もサービスを受けることができなくなり、医療保険の改定時に設けられた13単位制限の際によく耳にしたリハビリ難民が溢れることになります。

 国は、地域包括ケアと高らかに声を上げていますが、実情は異なります。地域で働く療法士が少しずつ増えてきたにも関わらず、その芽を摘もうとしているとさえ感じます。

(実際に地域で働く療法士はまだまだ不足しています。)


 一方で、これを機に弊社のような自費リハビリ事業に更なる脚光が浴びるのではないかとも考えられます。自由度が高く、質の高いサービス提供ができれば、リハビリを受けることができない利用者様が集まり、保険下で働く療法士が一気に流れてくるかもしれません。

 そうなると医療保険や介護保険で提供されるリハビリの質の低下ということも懸念されるため、経済的に豊かな人しか質の高いサービスを受けることができなくなるのではないかということも頭の片隅に置いておかないとおけないのかもしれません。

 今回の人員配置基準の新設についての動向から目を離すことができませんね。各協会では署名活動も行っていますので、療法士の職域を守るため、利用者様のサービスを守るためにも是非、署名をお願い致します。