地域に出よう-訪問で地域と生きる、地域を変える-

2017年06月08日

 現在、コメディカルのほとんどは病院などの医療機関に所属しています。看護師に至っては、訪問看護師は有資格者の2%程度に留まるというデータも。医療機関で働いている皆さんに、今日は地域の面白さについてお伝えできればと思います。

 皆さんは、地域で働くということにどのようなイメージがありますか?1人で訪問に行くのは怖い、本当に結果を示すことができているか不安、経験がないとできない…様々な理由から地域で働くという決断ができずにいる人もいるのではないかと思います。今日は少しでも、そういった不安を解消できればと思います。


ー訪問での不安解消のためにー

 一番皆さんが不安に感じていることは、何と言っても急変時の対応ではないでしょうか。しかし、冷静になれば大丈夫。基本的に訪問先ごとに緊急連絡先一覧を作成するようになっています。冷静にかかりつけ医に連絡し、対応を仰ぎましょう。

 病院でハリーコールに出会うより確率は低いと思います。僕は訪問リハを行っていて、救急車を呼ぶような事態となったことは一度もありません。


 続いて、一人での介入で効果が出ているかどうか分からないという不安についてですが、介護保険は基本的にケアマネさんが大枠のプランを組んでくれます。利用者さんからヒヤリングをしっかりとしてくれるので、介入して欲しい点があれば随時伝えてくれます。

 看護師/療法士としての経験がなくても、チームとして利用者さんに関わるため、安心です。他職種との連携を密にとっていれば、自分が何をすれば良いかは明白となってきます。個人的には、研修制度を導入すれば、新卒でも訪問は可能だと思います。当社の場合、リハ職は僕が同行訪問します(笑)


ー訪問はシンプルー

 訪問の最大の魅力は、利用者さんの生活環境で介入ができるという点です。自分の介入で利用者さんの生活がどんどん良くなっていく姿を見た時は、本当に言い表すことのできない高揚感があります。

 「これができるようになった」「あれができるようになった」と言って頂ける瞬間は本当にたまりません。生活環境で介入をしているので、何をどうしたら良いかも見えやすいですし、介入もシンプルです。利用者さんが困っていることに対してアプローチすれば良いのです。

 利用者さんが良くなれば、当然次の仕事の依頼も入ってきます。医療機関に所属している時と比べて、介入が利用者さんの生活にも、自分の仕事ぶりにも反映されやすいので、やり甲斐は大きいと思います。


ー地域と生きる、地域を変えるー

 一方で、訪問で仕事をしていると地域や制度に悩まされることもあります。以前、広島で働いていた時のエピソードを書きます。

 ある利用者さんと屋外でのリハをしていた時のことです。ある日、ケアマネから連絡があり、「屋外でリハをすると介護保険の給付に引っかかるので、止めて下さい」と言われました。誰にそんなことを言われたのですか?と聞くと、市の介護保険課の人だという返答です。

 近隣で働く他の療法士も同じことを言われていたようで、相談を受けたため、市役所に問い合わせに行きました(1人で)。

 介護保険は自立支援を支える制度ではないのかということ、自宅から出ることができない人をこのまま自宅に閉じ込めておいて良いのかということなど、色々と話をした結果、市では判断できないので県に報告しますということでその場は収まりました。

 数ヵ月後、下記の条件を踏まえることで屋外でのリハを認めてもらいました。

  • 医師の指示書に屋外練習が必要である旨の記載があること
  • ケアプランに同様の内容が含まれていること
  • リハ計画に同様の内容が含まれていること

 その後、市役所の職員がケアマネを集めて屋外リハに関する指針を説明してくれました。これで、屋外でのリハを行ってはいけない理由は無くなったのです。訪問で仕事をすると、こう言った細かい制度についても意見を出したり、変更を認めてもらう働きかけをすることができます。自分が行ったことが、その後もずっと地域で生活する方に良い影響を与えると考えると胸が熱くなりませんか?

 今後は、地域づくり/都市開発などに僕たちのような医療関係者がどんどん関わっていく必要もあると考えられます。そのためにも、地域で働く医療関係者が増えるといいですね。


ー地域に出よう、地域で働こうー

 地域に出ると、いろんな人と関わりを持つことになります。新しい制度を学んだり、今までとは違う知識が必要になることもあります。しかし、その苦労の先にはたくさんの素敵な出会いが詰まった未来が待っています。

 自分自身にとって、「ここで最期を迎えることができたらいいな」と思える地域づくり、今から一緒に始めてみませんか?

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