リハビリ小説-閉ざされた世界編8-

久は頭を悩ませていた。
美宏とのパソコン操作練習を何度も繰り返し行ったが、操作スピードが上がらず、パソコンを使うと言えるには程遠いものであった。
そこで、久はある決断をした。
カチッ、カチッ...
「あ、また違う所でクリックしちゃった...パソコンって難しいなぁ。」
『大丈夫ですよ、ゆっくり操作してみて下さい。』
...
『話は変わりますが、美宏さんはパソコンが使えるようになったら、日記をつけること以外に何かやってみたいことってあるんですか?』
「そうですね、インターネットでブログとかやってみたいなぁ。同じ病気の人と情報交換したり、自分の生活のこととかを書いてみたいです。」
久は改めてパソコンをするという作業の【意味】*を確認していた。
*作業には、【形態】【意味】【機能】の三つがあると言われています。
『ブログなら、パソコンの操作ができなくても、すぐに始めることができますよ。』
『パソコンの操作練習を止めるということではなくて、パソコンを使ってしてみたいことを優先させるのはいかがですか?』
「え?ブログってパソコンが無くてもできるんですか?」
『最初の設定はパソコンで行う必要がありますが、設定さえしてしまえば、パソコンは無くても大丈夫なんです。』
『僕に任せて下さい。』
久はニヤッと笑いながらそう答えた。