リハビリ小説-閉ざされた世界編11-

「パソコン操作はまだ難しいし、ガラケーを使い続けるのも美宏さんの指に負担がかかってきている...」
事務所に戻った久は、カルテを書きながら、指に負担のかからないネットサーフィンの方法はないかと考えていた。
『ねぇ、久くん。ちょっとこれの使い方教えてよ。』
そう言いながら京子がタブレットを持って近づいてきた。
「タブレットはスマホと同じような使い方ですよ。」
「ここを開いて、アプリを起動して...ほら、ここからカルテの記入ができますよ。」
『さすが久くん、ありがとう。でも、ずっと紙にカルテを書いてたからやっぱり私にはタブレットは向いてない気がするわ(笑)』
「なんですか、それ(笑)」
最近になって書類業務の効率化や訪問の空き時間の有効活用ができるようにという試みで、事業所に数台のタブレットが支給されていた。
「あ!!これだ!!!」
『ちょっと、急に大きな声を出さないでよ。びっくりするじゃない!』
「タブレットなら、パソコンのように複雑な操作が必要なくて、触るだけで操作ができるじゃないですか。何でこんなことに気付かなかったんだろう!」
『さっきから一人で何言ってるの?気持ち悪い...』
久は、美宏にタブレットが使えないか、と考えたのだった。